佐藤オオキの代表作とnendoの活動を徹底解説!世界を魅了するデザインの軌跡

佐藤オオキの代表作とnendoの活動を徹底解説!世界を魅了するデザインの軌跡

日本のデザイン界において、その名を知らない者はいないと言われるほど、世界的に活躍するデザイナー、佐藤オオキさん

佐藤オオキさんは、プロダクトデザインに留まらず、建築、インテリア、グラフィック、さらには事業や組織のデザインまで、多岐にわたる分野で「小さな“!”」を感じさせるデザインを生み出し続けています。東京2020オリンピックの聖火台デザインや、フランス高速鉄道TGVの新型車両デザインなど、その活躍は枚挙にいとまがありません。

この記事では、佐藤オオキさんの輝かしい経歴から、nendoの設立経緯、世界中で高い評価を受ける代表作の数々、そして彼が手掛けた多岐にわたる有名プロジェクトやコラボレーションの全貌を徹底的に解説します。

佐藤オオキとはどんなデザイナー?デザインオフィスnendoの概要

佐藤オオキさんは、日本のデザイン界を牽引するだけでなく、世界中のクライアントからオファーが殺到する国際的なデザイナー兼建築家です。彼が代表を務めるデザインオフィスnendoは、その独創性と幅広い活動領域で知られています。

佐藤オオキさんのプロフィールと輝かしい経歴

佐藤オオキさんは、1977年12月24日にカナダのトロントで生まれました。その後、日本に移住し、早稲田大学高等学院を経て、早稲田大学理工学部建築学科を首席で卒業。2002年には同大学大学院理工学研究科建築学専攻を修了しています。大学院修了と同時に自身のデザインオフィス「nendo」を設立するという、異例のキャリアをスタートさせました。

2012年から2014年には早稲田大学の非常勤講師も務めるなど、教育の分野にも貢献しています。彼の才能は早くから世界に認められ、2006年にはNewsweek誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選出されるなど、その輝かしい経歴は多方面にわたります。

デザイン事務所nendo(ネンド)の設立経緯とデザインの特徴

佐藤オオキさんがデザインオフィスnendoを立ち上げたのは、2002年に早稲田大学大学院を修了したのと同時でした。設立のきっかけは、卒業旅行で訪れたイタリアの国際家具見本市「ミラノサローネに強い刺激を受けたことだと語っています。プロダクトデザイナーがアパレルを手がけたり、グラフィックデザイナーが車のインテリアをつくったりするような、ジャンルにとらわれない自由な空気に魅了され、「型にはまらないものづくりができそう」という思いから仲間たちとnendoを設立しました。

社名である「nendo」は、日本語の「粘土」や「工作用粘土」を意味しており、模型製作材料のように、どんな形にも柔軟に変化できるデザインを目指すという彼らの理念が込められています。東京とミラノに拠点を持ち、建築、インテリア、プロダクト、グラフィックといった幅広いデザイン領域を手掛けるだけでなく、近年では事業や組織のデザイン、大手企業の技術力向上支援など、その活動範囲はさらに拡大しています。

nendoのデザインは、ミニマムでありながらも細部にこだわりが感じられるのが特徴です。単に美しい形を追求するだけでなく、プロダクトの背景にある歴史や、ユーザーが日常で感じる「小さな“!”(ハッと気づくような瞬間)」を大切にしています。

佐藤オオキ・nendoの国際的な評価と数々の受賞歴

佐藤オオキさんとnendoは、その革新的なデザインと多岐にわたる活動が評価され、国内外で数々の権威ある賞を受賞し、世界中の主要な文化施設に作品が収蔵されています。

世界を魅了する「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」の受賞歴

佐藤オオキさんとnendoは、設立以降、世界中のデザイン賞を席巻してきました。2007年にはNewsweek誌の「世界が注目する中小企業100社」にnendoが選出され、その存在感を世界に示しました。

特に注目すべきは、2012年にイギリスのライフスタイル雑誌「Wallpaper*」とイタリアのデザイン誌「Elle Deco International Design Award」で、史上最年少で「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したことです。さらに2015年には、欧州最大のデザインの見本市「メゾン・エ・オブジェ・パリ」(Maison & Objet Paris)でも同賞を受賞するなど、世界のデザイン界におけるトップランナーとしての地位を確立しています。

この他にも、2013年には北欧最大のデザインの見本市「Stockholm international furniture fair」やトロントの「Interior Design Show」で「Guest of honor」に選出され、デザイン界のアカデミー賞とも称されるELLE DÉCORのグランプリをはじめ、グッドデザイン賞、レッドドットデザインアワードなど、数えきれないほどの名誉ある賞がnendoに授与されています。

ニューヨーク近代美術館など世界の主要施設に収蔵される作品

nendoが手掛けた作品は、そのデザイン性の高さと普遍的な魅力から、世界中の主要な美術館や博物館に永久収蔵されています。代表的な収蔵先としては、アメリカのニューヨーク近代美術館(MoMA)、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館、フランスのポンピドゥー・センターなどが挙げられます。

これらの世界的な文化施設に作品が収蔵されていることは、佐藤オオキさんとnendoのデザインが単なる商業的な成功に留まらず、芸術的かつ文化的な価値を持つものとして国際的に認められている証と言えるでしょう。

佐藤オオキが手掛けた代表作【プロダクト・家具・照明】を徹底解説

佐藤オオキさんとnendoのデザインは、ミニマムでありながらも細部にこだわりを感じさせ、プロダクトと、その背景にある歴史や物語にも目を向けています。ここでは、彼らが手掛けた数々の代表作の中から、特に有名なプロダクト、家具、照明について詳しく解説します。

機能美を追求した「NJPシリーズ」の魅力とは?

NJPシリーズ」は、デンマークの照明ブランド「ルイスポールセン」から製造されている照明器具です。建築家などが愛用していた伝統的なアーム式のデスクランプを発展させたもので、すっきりとしたフォルムとマットなカラーリングは、さまざまなテイストのインテリアに馴染みます。

このシリーズの魅力は、その機能美にあります。ランプの位置を簡単に調節できるだけでなく、シェードには動きの効率化とLEDの放熱の役目を持つ開口部が付いているなど、細部にわたる機能性が追求されています。フロア、テーブル、ミニテーブル、ウォールといった豊富なラインナップがあり、使用する場所や目的に合わせて選べる点も特徴です。

無垢材の質感を活かしたフリッツ・ハンセンとのコラボ「N01」

N01(エヌゼロワン)」は、nendoとデンマークの老舗家具メーカー「フリッツ・ハンセン」のコラボレーションによって誕生したアームチェアです。木の温もりを活かした軽やかな佇まいが特徴で、シンプルでありながら複雑に計算しつくされた構造を持っています。

9層の合板を使用した座面と背面を合わせるという、フリッツ・ハンセンのスタッキングチェアシリーズの特徴を取り入れており、どの角度から見ても美しい仕上がりを実現しています。部屋のコーナーに置いたり、ダイニングチェアとして使ったりと、フレキシブルに対応できるデザインも魅力です。

廃プラスチックを活用したサステナブルな「N02 RECYCLE」チェア

N02 RECYCLE」は、家庭から出る廃プラスチックを再利用して作られた多目的チェアです。これも「N01」と同様にフリッツ・ハンセンとの共同制作であり、再リサイクルが可能な点が大きな特徴です。

ワークテーブル上の紙の折り目からヒントを得てデザインされたシェルの折り目が、座る人の背中を優しく支える役割を果たします。スレッド脚モデルは前後の脚をつなぐことで、4本脚ならではの優美なフォルムを強調。全7色のカラーバリエーションがあり、カラーとベースの組み合わせによって雰囲気が大きく変わるため、家庭や職場など、使用する場所に合わせて選ぶことができます。サステナブルな素材と美しいデザインが融合した、現代的なプロダクトと言えるでしょう。

額縁のような照明インテリア「Gaku」のユニークな楽しみ方

nendoの意欲作として知られる「Gaku」シリーズは、イタリアを代表するトップ照明ブランド「FLOS(フロス)」から販売されているインテリアアイテムです。四角いフレームを額縁に見立てたユニークなデザインが特徴で、その中に配置された照明と小物のバランスが美しく、個性的な空間を演出します。

ボウル、キーボウル、ブックエンド、鏡、花瓶といったさまざまな種類の小物が用意されており、別売りの小物と組み合わせて自由に配置を楽しむことができます。照明と小物がセットになっているため、“見せる収納”として使いやすく、置く場所によってはブックスタンドや生花に活用できるのも魅力ですし、ホワイトカラーや充電式のワイヤレスタイプもあり、見た目を損なわずに洗練された空間を作りたい人におすすめのアイテムです。

シリンダーのみで構成された美しい照明「Sawaru(サワル)」

同じくFLOSから販売されている「Sawaru(サワル)」は、大きな筒状のシリンダーを2つ組み合わせた、極限まで無駄を削ぎ落としたシンプルな照明器具です。長いシリンダーが光源としての機能を果たし、短いシリンダーが土台として使用されます。

ベース部分にあるピンの角度を調節することで、25度、40度、60度の3段階で投射角度を変更できるのがポイントです。また、調光器ペダルを使用すれば、赤みがかった温もりの灯りからクールな雰囲気を演出できる青色まで、色や光の強さを自由自在に変更できます。インテリアアイテム単体として見ても非常に美しいデザインであり、部屋を明るくする照明としてだけでなく、アートを照らしたり、壁に投射して間接照明のように使ったりと、用途も多彩な一品です。

多岐にわたる佐藤オオキ・nendoの有名プロジェクトとコラボレーション

佐藤オオキさんとnendoの活動は、プロダクトデザインの枠を超え、建築、空間、ブランディング、さらには社会的なプロジェクトまで、多岐にわたる有名プロジェクトやコラボレーションを手掛けています。

東京2020オリンピック聖火台のデザインに込められた想い

佐藤オオキさんは、世界中が注目した東京2020オリンピックの聖火台デザインを担当しました。彼のデザインは、シンプルでありながらも日本の美意識と未来への希望を表現しており、大会の象徴として大きな感動を呼びました。聖火台は、開閉式の球体の中に炎が灯る構造で、太陽が昇るようなイメージや、未来への希望を表すデザインが込められていたと考えられます。

ローソンやエースProtecaなど身近な商品・ブランドデザインの実績

nendoは、私たちの日常生活に溶け込む身近な商品やブランドのデザインも数多く手掛けています。

  • ローソン:プライベートブランド(PB)商品のパッケージデザインを担当し、シンプルながらも使いやすく、視覚的に魅力的なデザインを提供しています。
  • エース「Proteca」:スーツケースのデザインを手掛け、「Proteca 360 スリーシックスティ」は上下左右どこからでも開けられる革新的な機能性で「2015年度グッドデザイン賞」を受賞しました。
  • THREE:コスメブランドのプロダクトデザインを担当し、ブランドの世界観を表現しています。
  • ロッテ「ACUO」:ガムのパッケージデザインなどを手掛け、消費者の手に取られやすいデザインを生み出しました。
  • IHI:コーポレートブランディングにも携わり、企業のイメージ構築に貢献しています。

これらの実績は、nendoのデザインが単に美しいだけでなく、機能性や使いやすさ、そしてブランドイメージの向上に貢献していることを示しています。

ポケモンとの異色コラボ!モザイクアートやオフィス空間デザイン

佐藤オオキさんとnendoは、世界的な人気を誇る「ポケットモンスター」シリーズとの異色コラボレーションも実現しています。

  • ポケモンモザイク:2023年9月に発売された計75点のコラボレーションコレクションです。『ポケットモンスター 赤・緑』に登場するポケモンたちの色を抽出し、丸・三角・四角といった単純な幾何学形状に再構成することで、一見抽象的でありながらも「ポケモンらしさ」を感じさせるモザイク柄をデザインしました。グラスやプレートなどの食器、クッション、掛け時計、バッグなど多岐にわたるアイテムが展開され、ポケモンの進化に合わせてモザイクを構成するマスの数が変化するなど、細部までこだわりが詰まっています。

 

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  • クリーチャーズオフィス空間設計:『ポケモンカードゲーム』の企画・開発を行う株式会社クリーチャーズの新社屋(エントランスおよびミーティングスペース)の空間デザインも手掛けています。生物が環境によって変化するイメージや、アメーバのようなモチーフを取り入れ、非対称の有機的な形をしたテーブルなどをデザインしました。壁面には、カードの特徴を抽象化したイメージをレーザーカットで切り抜き、シークレットとして9種の「エネルギーカード」を忍ばせるなど、遊び心あふれる空間を創出しています。
  • ポケモンカードゲームClassic開発:カードのデザイン監修や、新たなプロダクトである『ポケモンカードゲーム Classic』の開発にも携わっています。

このコラボレーションは、nendoのデザイン思考が、エンターテインメント分野においても新たな価値を生み出せることを証明しました。

フランス高速鉄道TGV新型車両のデザイン詳細

佐藤オオキさんは、2024年より運行のフランス高速鉄道TGVの新型車両デザインも手掛けています。フランス全域とフランス国外の各都市を結ぶ高速鉄道のデザインは、その国の象徴とも言えるプロジェクトであり、nendoの国際的な影響力の大きさを物語っています。

 

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現在開催中:大阪・関西万博「日本館」総合プロデュース

2025年10月まで開催されている大阪・関西万博において、佐藤オオキさんは「日本館」の総合プロデューサーを務めています。日建設計が建築デザインを手掛ける日本館は、「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマに掲げ、円環状のパビリオンとなっています。

2025年7月26日放送のアナザースカイでは、大阪・関西万博の日本館設計の裏側にも迫りそう。

今後の佐藤オオキさん、そしてnendoからどんなデザイン、発想が飛び出してくるのか、目が離せません!

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